左利きのスライスサーブが右に飛ぶ、スライスをボレーするとよくネットにかかるといった経験ありませんか?
今回はボールがラケットに当たったときに、回転によって返球にどう影響するのかを卓球の技術から考えてみます。卓球はテニスよりもボールにかかった回転の影響が顕著にでます。その考え方をテニスに置き換えてご紹介します。
目次
卓球とテニスで回転に影響するものの違い
卓球とテニスにおいて、まず道具の素材が違います。
ラケットの表面、ゴム製のラバーでピンポン球には急激に回転がかけられます。
テニスでボールかけられる約2倍の回転が、卓球ではかけられるのです。
それに対して卓球台とピンポン球は表面がツルツルしていて接触したときの摩擦が少ないです。
また軽いため空気抵抗も少なく、台の広さもテニスコートの約1/8と狭いため、ボールにかけられた回転が相手に届くまであまり減少しません。
つまり卓球はテニスに比べてとても回転の影響を受けやすい競技なのです。
そのため相手が打った球種や回転量によって返し方、ラケットの出し方を変える必要があります。
一方でテニスはボールやコートの素材など抵抗が大きいため、回転量は相手に届くまで減少します。
しかしラケットと接触したときに強い回転の影響は受けるため、狙ったコースから逸れてアウトしたりするのです。
ドライブ(上回転)
ラケットと接触したときの影響
ボールの進行方向に対して上向きに回転のかかった、試合でもっとも多用するボールです。
普段から打ち慣れてしまって気付きませんが、これも回転の影響は受けています。
図のように壁にドライブボールをワンバウンドしてから当たったとしましょう。
ボールには上回転がかかっているため、壁に当たったあとボールは上に飛んでいこうとします。
強いトップスピンがかかったボールを返したときに、浮いてアウトしてしまうのはこれが原因です。
返し方
強い上回転がかかったボールには、
- 通常より厚めに(覆うように)ラケットを当てることで、上に飛ぶのを抑える。
- ボールが浮くぶんを回転で落とすためドライブを強くかける。
- アッパースイングにしすぎず、イメージより軌道を低めにするつもりで打つ。
などラケットに当たったあと上に飛ぶことを考える必要があります。
スライス(下回転)
ラケットと接触したときの影響
ストロークで打たれる、低く弾まない下回転のかかったボールです。
これも同様に壁に当たったときをイメージしてみましょう。
ボールには下回転がかかっているため、壁に当たるとボールは下に飛んでいきます。
スライスをボレーすると、ネットに引っかかりやすいのもこれが原因です。
ドライブで返球しようとすると、同じ方向の回転をかけることになるので、通常より上回転のかかったボールが下に飛んでいくことになります。
そのためスライスを返球しようとするとネットにかかりやすくなるのです。
テニスの場合はボールが地面で滑ってバウンドが低くなるので、打点が低くなることもミスの原因になります。
打点が低くなると、スイングの上に向かう力が不十分になるからです。
返し方
下回転を返すためには、
- 押し出す力を利用する。
- ボールを落とすための上回転は自然とかかるので、フラット気味にラケットを当てる。
- バウンドが高い場合は、ボールの下よりに当てて軌道を高めにするつもりで打つ。
ボレーの際も上回転をボレーするときよりも、ラケットを通常よりボールの下側から当てたり、押し出す力を強めにしましょう。
おわりに
最初のころはなぜスライスボールをボレーするとネットミスをするのか、回転の影響に気づかず戸惑うこともあるかと思います。
卓球はボールにどんな回転がかかって、それにどう対応するかが重要なポイントの一つです。道具や環境に違いがあるため、その回転に対する考え方だけ参考にしてテニスでの対処法をご紹介しました。
テニスで回転の影響について考える、良い機会になればと思います。
次回は左利き特有の横回転についてご紹介します。
参考:
【ピンポンが卓球に変わる 「回転(スピン)・下回転」を知る 「チョイうま卓球理論4」】
【ドライブの軌跡は? 「回転(スピン)・上回転」を知る 「チョイうま卓球理論5」】